2008年11月15日土曜日
大数学者訃報
Renowned math wiz Ito, 93, dies
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20081115a9.html
私が修士論文の研究結果を学会で発表する当日の今日、この訃報を知った。
まさに、確率微分方程式を使う分野であり、伊藤の公式無くしては何も作れない分野である。
伊藤の公式は、ニュートン・ライプニッツの微分・積分に継ぐ、数学の歴史の中で、
最も重要な発見の1つであり、理論・実学の両面において、革命的なブレイク・スルーである。
それは、一度証明されてしまえば絶対に、普遍的に成り立つ公式であり、
微分・積分学が17世紀から今日まで300年以上も使われ続けているのと同様、
今後数百年、数学の中で重要な基本定理となるだろう。
それは、数百年後において数学を勉強する学生にも、公式が発見された当時の感動と
世界の本質的アイデアを与えるだろう。
今手元には、”伊藤清「確率論」岩波基礎数学選書”がある。
伊藤先生亡き後、この本は伊藤先生そのものであり、読み・理解することで先生の思考をトレース
することができ、再び私たちにその本質を教えてくれるのである。
伊藤先生のご冥福を心からお祈り致します。
The Work of Kyosi Itô (American Mathematical Society)
http://www.ams.org/notices/200706/tx070600744p.pdf
2008年11月1日土曜日
経済予測図に標準偏差
日経ビジネスを読んでいたりすると、どこぞの証券や銀行のリサーチ部門が
よく将来の経済予測をやっていたりします。
そのときに、必ずと言っていいほど予想グラフがありますよね。
でも、そのグラフは大抵、平均値と思われる線が一本だけです。
しかし、それだと将来の不確実性がどの程度考慮されているのがよくわかりません。
そこで、平均値のまわりに、標準偏差の予想線も併記するのはどうでしょう?
まるで、台風予想図のように、将来になるほど範囲円が大きくなるような形で。
そうすることで、読み手もリスクを勘案することができるし、
書き手がどの程度のリスクを想定しているか、ということもわかります。
そして、できれば標準偏差の変化も、標準ブラウン運動のように時間に比例ではなく、
様々な要因を織り込んだ、時変な形にしてみるといいのかもしれません。
2008年10月22日水曜日
Dropboxに座布団1枚
以前から名前だけ知っていたDropboxだが、チュートリアルを見て感動した。
こういうアイデア実現されてしまいましたか。
自分も似たようなものを考えていて、それは
- どこかのサーバに自分のPCのファイル・ディレクトリ構成を保存する
- サーバはファイル構成を管理する
- あるクライアントPCでファイル検索を行う場合に、サーバに問い合わせる事で他のPCに保存されているファイルも検索することができる
ファイル検索するときに、オフラインでも他のPCのファイルを探せたらいいな、という発想です。
しかし、現実的にはDropboxのやり方が一番良さそう。
見るに、Subversionのリアルタイム・コミットですね。
・・・これ、Subversionの本家機能としてマージしてくれないかなー。
そうすれば、家にNASサーバを置いてSubversionで管理させ、
全てのPCから均等にファイルアクセスを可能にしてくれる。
そういう新しいファイルシステムができたと考えても良さそうです。
2008年10月16日木曜日
不可逆選択の中の最適性
気がついたらそうなっていた、ということは多い。
一度すべてを経験してから、再びスタートに戻り計画を作り直すということは
できないわけで、我々は少し先の将来を予想して、現在の選択肢を決定する。
ところで、歴史的に見て若くして画期的とも思えるアイデアを出した人は多い。
アインシュタインは25歳で「ブラウン運動」「光電効果」「特殊相対性理論」を作ったし、
ガロアは20歳で死んだが画期的な理論を作り、ショパンも20代で大量の曲を作曲した。
勿論、現在でも20代前後で既に第一線を走っている人が沢山いる。
これは、人間が肉体的に20代でピークを迎える事と関連していると思われる。
しかし、20歳前後でピークを迎えるためには、少なくともその10年前には
本気で取り組んでいないとダメだろう。
すると、10代前半から始めることになるが、その頃に
「10年後にピークを迎えるから、これから10年間は最初の3年でこれをやって・・・」
というように、全体を俯瞰して意思決定することになりそうだが、これは大変困難に思える。
これは、スタートが20代、30代であったとしても同じこと。
この場合、一度40代を経験してから、そこまでの最適化問題を解き、
もう一度最初からやり直すことができれば一番良いのだろうが、現実的には不可能。
従って、現在から少し未来の最適化問題を解きつづけることしかできないが、(Receding Horizon問題)
その結果が全体として最適になるかは不明である。
2008年10月10日金曜日
経済のダイナミクス解析
金融クライシスを引き起こしたのは「非線形」
危機回避のために「非線形複雑経済学」を推進せよ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20080925/171571/
思っていたことはほとんど宮田先生が代弁してくださったが、若干の補足。
現在の経済学は、均衡理論が中心となっている。
市場価格は需要と供給の均衡状態で決まる、といった具合に。
しかしながら、ここ最近の経済状態を見ると、均衡状態なんてあったもんじゃない、
むしろ、経済はダイナミカルに動くものだと感じさせてくれる。
これを理系の言葉で言えば、
- ダイナミカル・システム
- 時変系
まず、ダイナミカルシステムであることとは、今説明したように、状態が時々刻々と変化していくこと。
このような現象は物理学の分野では、ニュートンが運動方程式を作った17世紀から定式化されている。
しかし、経済学では未だに静的状態を扱うのが基本になっているし、ダイナミクスを考える研究も
まだまだといった所だろう。
次に、時変系であることの例は、今回の金融ショックのように、システムの構造それ自体が時々刻々
変化していくことにある。このような現象は、モデル化することは非常に難しく、数学や工学の分野でも
最先端の研究になるだろう。
しかしながら、このようなシステムを取り扱う基本的な道具は、既に様々な数学・工学分野で
固められてきており、今後は経済学への応用を期待したいところである。
そうしていつか、経済全体をコンピュータでシミュレーションし、バブルや金融恐慌を事前に察知
できるようになり、そのためのコントロールの方法が見つかるようになることを願ってみたい。
2008年10月4日土曜日
神はサイコロの出方を知っているか
確率と言うと、「サイコロを投げたときに1の目が出る確率」のように離散事象を取り扱うものや、
「明日の最高気温」のように連続事象を取り扱うものがある。
前者は、離散値に対して、確率分布で確率を考え、後者は確率密度関数で確率を考える。
しかし、数学の確率論ではどちらの場合でも、全体事象はΩと抽象的に書かれ、
確率は「測度」というもので表現するので、形式的表現はどちらも同じになる。
今の2例は全体事象が全く異なるので、互いに全く違う確率を考えていることになる。
しかし、もちろん両者を同時に考えることもできるわけで、そのような場合は全体集合同士の
積集合を考えることで新しい全体集合を作ることができ、その上の確率を別途定義してやればよい。
さて本題。
このような全体事象を考えられる全ての場合で想定し、それらの積を考えると、
その極限は一体何になるだろうか?
答え・・・・Ω=宇宙の取りうる全状態 (n次元の関数空間、nは半端なく大きい数)
つまり、確率論の最大は「宇宙の状態が次の時刻でどのようになるか?」ということを取り扱うことになる。
このような場合、冒頭の「サイコロを投げたときに1の目が出る確率」なんてものは、Ωのごく一部の
小さな部分空間で、その上の確率を考えていることになる。
また、我々は地球の周辺の事に関しては、現時刻の状態をある程度把握しているので、
次の時刻でどうなるか?という確率は、条件付き確率となる。
しかし、「Ω=宇宙全体」なんて取ってしまったら、その確率を考えることは現実的に不可能である。
もし、その確率がわかる者が居るとすれば、それこそ神だろう。
アインシュタインは「神はサイコロを振らない」と言った。
その通り。神はサイコロを振らない。
ただし、「サイコロの出方については完璧な知識がある」のである。
確率論は永遠に完成しない。
2008年9月7日日曜日
iPhoneのとんでもない未来
iPhoneのとんでもない未来
http://japan.cnet.com/blog/mugendai/2008/09/06/entry_27013551/
ほぼ、今自分が考えていることと同じであったので、weblogすることにする。
そのうえで、補足をいくつか。
----
現在のモバイルの問題は
・インフラの問題
・端末の問題(ハードウエア)
・端末の問題(ソフトウエア)
で、それぞれ発生していると思われる。
まず「インフラの問題」については、モバイルの次の進化のために、
Mbps以上の高速通信網が必要とされている。この点、イーモバイルが
がんばってはいるが、利用できるのは大都市圏だけだ。
次に、「端末の問題(ハードウエア)」だが、現在は、様々な種類の端末を
作っている状況で、どれがモバイル端末としてベストかを探っている。
昔から含めれば、PDA、従来型の携帯電話、スマートフォン、ノートPC、
そして現在のEeePCのような、ミニノートPCがある。
ただ、現在のところコレといった決め手があるわけでは無く、模索が続いている。
最後に「端末の問題(ソフトウエア)」だが、これは端末でどのようなアプリケーション
の実行が期待されているか、という問題。
自分の考えでは、これはおそらく、
「インターネットへの100%アクセス」+モバイル用の便利アプリ
になるのではないだろうか。
もし、OfficeやPhotoshopを使いたければ、ノートPCを利用すれば良いわけで、
モバイル端末では作業効率が悪い。
一方、インターネットへのフルアクセスができれば、非常に便利だろうし、
モバイルの特性が一番出てきそうな分野にもなるだろう。
現在、モバイルが非常に注目されているのは良く分かる。
残されたフロンティアの中で、一番手が付けやすく、果実が沢山残されていそうだからだ。
しかし、未だその方向性は曖昧で、決定的なアイデアを欠いているように思える。
----
変化の激しいITの未来を予想するのは簡単ではないが、
個人的な希望を含めて、予想をまとめてみた。
http://japan.cnet.com/blog/mugendai/2008/09/06/entry_27013551/
ほぼ、今自分が考えていることと同じであったので、weblogすることにする。
そのうえで、補足をいくつか。
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現在のモバイルの問題は
・インフラの問題
・端末の問題(ハードウエア)
・端末の問題(ソフトウエア)
で、それぞれ発生していると思われる。
まず「インフラの問題」については、モバイルの次の進化のために、
Mbps以上の高速通信網が必要とされている。この点、イーモバイルが
がんばってはいるが、利用できるのは大都市圏だけだ。
次に、「端末の問題(ハードウエア)」だが、現在は、様々な種類の端末を
作っている状況で、どれがモバイル端末としてベストかを探っている。
昔から含めれば、PDA、従来型の携帯電話、スマートフォン、ノートPC、
そして現在のEeePCのような、ミニノートPCがある。
ただ、現在のところコレといった決め手があるわけでは無く、模索が続いている。
最後に「端末の問題(ソフトウエア)」だが、これは端末でどのようなアプリケーション
の実行が期待されているか、という問題。
自分の考えでは、これはおそらく、
「インターネットへの100%アクセス」+モバイル用の便利アプリ
になるのではないだろうか。
もし、OfficeやPhotoshopを使いたければ、ノートPCを利用すれば良いわけで、
モバイル端末では作業効率が悪い。
一方、インターネットへのフルアクセスができれば、非常に便利だろうし、
モバイルの特性が一番出てきそうな分野にもなるだろう。
現在、モバイルが非常に注目されているのは良く分かる。
残されたフロンティアの中で、一番手が付けやすく、果実が沢山残されていそうだからだ。
しかし、未だその方向性は曖昧で、決定的なアイデアを欠いているように思える。
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変化の激しいITの未来を予想するのは簡単ではないが、
個人的な希望を含めて、予想をまとめてみた。
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